Sprint株は、「買い」か「売り」か


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CEO交代となったSprintですが、そのSprint株に関して今、「買い」か「売り」かの判断は、株アナリストでも相反する意見があるようです。

■ 「売り」

SprintがT-Mobile US買収を断念したため、今後のSprint成長は次の点の改善に賭けられています。
● 現在進行中の都市部のネットワークアップグレードを完成すること
 - まだデンバー(一部通信基地のインストールが始まったものの、公式完成発表とはなっていない。)、サンフランシスコ、ホノルル、などの大都市でのLTE化が進んでおらず、他州の加入者のネガティブコメントを抑えるには、まず、大都市でのLTE化を100%完成するのが先決
 - その後、
 - - iDen停波によって空いた低周波数800MHz、
 - - すでに700MHz A(Band 12)使用権を獲得している郊外ルーラルエリア携帯局との協力によるローミング契約(ただし、この周波数はT-Mobile USも自社での買取り工作を進めているために、どれだけ広いルーラルエリア携帯局と協力できるかは未知数)を進める
 - - 来年(2015年)夏に開かれる予定の600MHz周波数使用権入札で低周波数を入札に勝って獲得し、自社で低周波数使用したLTE設置する

周波数1GHz以下の低周波数は、
 - 電波伝達距離が長く、国土の広いアメリカで郊外や砂漠・草原での電波充実するのに、少ない基地局で広い面積をカバーできるため、少ない投資でカバレッジを広く出来ます。SprintやT-Mobile USがVerizonやA&Tにエリアで負けている原因のひとつは、両社とも有効に使える低周波数使用権が無いことです。ただし、T-Mobile USは今年初めにVerizonから700MHz A(Band 12)の使用権を購入して全米約50%の地域をカバーできるようになります。そして、現在、更に他社からBand 12を買い付ける交渉を続けています。残念ながら、Band 12は5MHz+5MHzの狭い帯域でしか使えない(つまり、速度が遅い)のが、問題点です。
 -低周波数電波はビル内/建物内貫通力も強く、屋内での電波受信が受けやすくなります。加入者の屋内での使用を使いやすくするなら、低周波数使用権の獲得や更なる強化は、必要です。

しかし、これらの電波改善には、投資が必要です。

● 次に、通信料を下げ、他社との価格競争力を強化することが必要。
 - 通信料を下げると言うことは、減収/減益につながります。つまり、上に書いた設備投資の資金が少なくなります。

ここで、
【Seeking Alpha】Sell Sprint And Buy SoftBank – 2014年8月11日
のアナリストによると、設備投資資金の必要なSprintは「Sprintは株の増資が必要になるだろう」と予想しています。それにより市場で一般に取引される株数が増え、1株あたりの利益(損失)が増え、株価は下がるだろう、との予想です。したがって、「売り」推薦です。

ただし、Sprintの親会社のソフトバンクはAlibabaでかなりの利益を得ており(推定保有資産約580億ドル、5兆8000億円)、今後、他の国への進出も予想されており、ソフトバンクの株は今が買い時だ、とこのアナリストは分析しています。

■ 「買い」

反対意見としては、
【Seeking Alpha】Now Is The Time To Speculate On Sprint – 2014年8月15日
にあるように、
● 旧CEOが帳簿主義(会計重視)だったのに対し、新CEOはマーケティング主義。新しいマーケティング/営業方針をどんどん出して、失敗してもそれを教訓にまた新しい方針やキャンペーンを出して来るだろう。
今がSprintのどん底だが、これからは上向きしかない。

● Sprintの株は約78%はSprintが保有し、この分は市場で取引されない。したがって、一般に取引されるのは8億株程度しかない。
需要と供給の関係で、業績が上向きになる事が見えてきたときに買いたい株主が増えた場合、今、持っているとそのときに高く売れる。

問題は、Sprintが上向きに転ずるまでに資金流入が継続するか。継続しなければどこかで失速するわけですが、少なくとも1年は親会社のソフトバンクも支援を続けるだろう。
したがって、期限付き1年でSprint株に賭け(Speculation=投機)してみる価値はありそうで、うまくいけば1年で20%-40%の利益は得られるだろう。

1年で好転しなければ、見切りを付けて処分したほうが良い。・・・・と言う意見。



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