世界約100ヵ国で使えるデータ通信SIM、GigSky:その2、使い方とパーフォーマンス


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1枚のSIMで世界数十ヵ国~100ヵ国以上でデータ通信が使えるグローバルSIMについて、続けます。
前回、通信コストを4社で比較しました。
世界約100ヵ国で使えるデータ通信SIM、GigSky:その1、他のグローバルデータ通信SIMとの料金比較 - 2014年3月18日

この中で、
● GigSkyは比較的新しいサービスであること、
● 日本でも今年(2014年)1月31日から販売されていること、
● 到着地での最初の10MBが無料で使えること、
● SIMの有効期限が無い(使用規約ページには、最後の使用有効期間から365日以内にトップアップしないと、SIMが無効になると書いてある。)
【GigSky】Terms and Conditions

に注目し、検証のためにこのGigSkyを実際にアメリカで使ってみることにしました。

最初に結論を書くと、やはり、このGigSkyは3Gしか使用出来ない為、
● EメールやTwitterや、単純なウエブサイトの閲覧向き。マルチメディア・コンテンツのリッチなサイトの閲覧は、速度はまあまあであるが、コストの面で向いていない。
● GPSも、地図情報のダウンロードをGigSkyのデータ通信を通して行うのは速度的には可能であるが、コスト的には高い。使い方によってはすぐにデータ容量がいっぱいになってしまうでしょう。GPSナビ使用には、事前に地図データをダウンロードしておくか、オフロード・マップが使えるNavFreeやMapWithMeなどを使うことをお勧めします。
データ通信がオフでも使える北米の無料カーナビ・アプリ(iPhone、アンドロイド)、NavFree GPS USA - 2013年6月24日
データ通信がオフでも使える、世界の地図!(日本地図も有り!):MapsWithMe - 2013年7月24日
● GigSky SIMを使用する場合は、WiFiが使えるところでは出来るだけWiFiを使うように、気を配って使うようにしたほうが良い。
● 複数の国を、それぞれの国では短期間しか滞在しない人には、便利かもしれない。
● 筆者なら、GigSkyはあくまで「現地ですぐにSIMが見つからなかったときのためのバックアップ(保険)として所持しておく目的」として1枚用意しておくには価値があると思う。しかし、ストレス・フリーの使用と、より効率のよいコストを求めるなら、現地のLTE対応SIMを買うべし。
● 中南米、アフリカ、東南アジア、中近東ではまだGigSkyが使用できない国もあるので、これらの地域に行く場合には、事前に対象国を調べておくこと。

以下、検証結果です。

■ まずは、GigSky SIMを購入する

GigSky SIMは、USサイト
【GigSkyアメリカ】Store
または、日本在住者は日本の販売代理店フロンティアファクトリーのサイト
【GigSky日本】トップページ
で購入できます。

US価格はノーマル/マイクロSIM兼用、または、ナノSIMが、1枚$19.95、送料無料(アメリカ国内)。海外発送も行い、日本を含むアジアの国へは$6.50(普通航空郵便)か$44.95(EMS?)で発送してくれます。決済は、Amazon.com決済(Amazon.comに登録しているアカウントでの決済。)になります。

日本の販売代理店フロンティアファクトリーの価格は、通常価格2480円(税別)、期間限定の販売記念特別価格が1480円(税込・・・ってことは、3月31日まで?)、「製品をご利用後にレビューをお送りいただくことに同意して頂いたお客様には、更に500円の特別割引を実施し」980円にて販売しています。

USサイトではSIMフリーLTE/3GポケットWiFi、Netgear 763S(Sierra Aircard 763S)も販売しています。これは、AT&TモデルのAT&T Elevate 4G(Netgear/Sierra Aircard 754S)のカナダ版で、周波数対応は
● LTE Band 7(2600MHz)、Band 4(1700/2100MHz AWS)
● 3G W-CDMA/UMTS/HSPA+ Band 5(850MHz)、Band 2(1900MHz)、Band 1(2100 MHz)
● 2G GSM/Edge/GPRS 850/900/1800/1900 MHz
となっています。価格$199.95にはGigSky SIM 1枚が含まれています。

参考までに、GigSky USでは販売していませんが、簡単にAmazon.co.jpなどで入手できるSIMフリーAT&T Elevate 4G(Netgear/Sierra Aircard 754S)の周波数対応は、
● LTE Band 17(700MHz)、Band 4(1700/2100MHz AWS)
● 3G W-CDMA/UMTS/HSPA+ Band 5(850MHz)、Band 2(1900MHz)、Band 1(2100 MHz)
● 2G GSM/Edge/GPRS 850/900/1800/1900 MHz
です。違いはLTE周波数だけですが、GigSky SIMではLTEが使用できないため、どちらを購入しても(また、他のSIMフリーポケットWiFiを使用しても)、実用的には変わりません。

アメリカではGigSkyのサポートしているAT&T回線は3GはBand 5(850MHz)とBand 2(1900MHz)を使用していること、それ以外の国では3GはBand 1(2100 MHz)が多いことを考慮してください。

■ SIMの使い方(APN設定)

SIMを入手後に「すること」が、2つあります。

● 一つは、SIMを端末に挿入し、APNを設定すること、そして、「ローミング」を「オン」にすることです。
APNは、openroamer.com gigsky。ユーザー名とパスワードは空白です。

GigSkyのSIMをiPhoneに挿入すると、デフォルトではTIM(Telecom Italia)のキャリアプロファイルを読み込み、TIMのAPN「wap.tim.it」が設定されます。
これを、「openroamer.com gigsky」に変更する必要があります。

また、アメリカではAT&Tの回線を使用し、AT&Tの電波を使用していますが、SIMはTelecom ItaliaのSIMですから、「設定(Settings)⇒モバイルデータ通信(Cellular)⇒データローミング(Data Roaming)」を「オン」にしないと、データ通信が出来ません。

※ 当然のことですが、GigSkyを使用するには、Telecom ItaliaのSIMが読める端末、つまり、SIMロックフリーの端末でないと使えません。

APNを設定し「データローミング(Data Roaming)」を「オン」にすれば、多くの国で最初の10MBまで現地のデータ通信が無料で使用できます。

スクリーンショットは、あとで掲載予定

■ iOS/アンドロイドアプリをインストールするか、ブラウザーでアカウント管理

SIMを入手後に「すること」のもう一つは、「アカウントを作成し、SIMをアカウントに登録すること」です。

SIMとアカウントを管理するために、iOSアプリ、または、アンドロイドアプリをインストールします。

アプリの代わりに、ブラウザーでGigSkyのホームページ
【GigSkyアメリカ】ホームページ
にアクセスし、ログインしても構いません。

アカウントを作成し、SIMをアカウントに登録すると、必要な国でのデータ通信プリペイドプランの課金が行えます。
一つのアカウントに複数のSIMが登録できます。
また、iOS/アンドロイドアプリをインストールした端末にSIMが挿入されている必要はありません。が、プリペイドデータ通信料金を追加するためには、SIMがどのキャリアの回線にアクセスしている(どの国に居る)かを自動判別できないといけないので、SIMはデータ通信が出来る端末(例:アプリをインストールした端末、アプリをインストールしていない端末、ポケットWiFi、など)に挿入されていて、電源が入っていないといけないようです。つまり、他のプリペイドSIMと違って、
● 新しい国に到着した場合には、(SIMがアカウントに登録されていて、かつ)、SIMが挿入されている端末の電源が入っている必要がある
ようです。または、
● 既にプリペイド通信プランを購入している国では、それに追加で購入する場合には、SIMを挿入した端末の電源は入っている必要は無い
ようです。

支払いはクレジットカード、または、Paypalアカウントで支払うことが出来ます。Paypalで支払えるのは、良いですね。

詳しい手順は、あとで掲載予定

■ データ通信プランの購入

アカウントにクレジットカードやPaypalアカウントを登録しておけば、GigSkyのSIMのデータ通信プランの購入はiOSアプリ、アンドロイドアプリ、または、ブラウザーでGigSkyホームページで行うことが出来ます。

たとえば、アメリカの場合、ドル建てでは
● $25.00で、175MBまで、最大7日間
● $35.00で、300MBまで、最大14日間
● $50.00で、500MBまで、最大30日間
円建てでは
● 3000円で、175MBまで、最大7日間
● 4200円で、300MBまで、最大14日間
● 6000円で、500MBまで、最大30日間
になります。
1ドル=120円換算ですね。

詳しい手順は、あとで掲載予定

■ アメリカAT&Tの3G速度の検証

最大の関心はここなので、上記の説明やスクリーンショットは後で補充するとして、以下の部分を先に書きます。

アメリカではGigSkyはAT&Tの3G回線に接続します。

通常、AT&TのLTEに対応していない端末では、端末がHSPA+対応(かつ、AT&Tの周波数に対応)していれば、AT&TのHSPA+の速度でアクセスできます。
当然、GigSkyも同じだと、思っていました。

ところが、同じ場所で、GigSkyのSIMと、AT&TのSIM(ポストペイド契約)で、iPhone 5/5sでSpeedTestを比較してみて、予想外の発見をしました。
この検証では、AT&TのSIMを挿入したiPhone 5は、LTEを無効化しています。GigSkyは、新しいiPhone 5sに挿入しています。

GigSkyのSIMを挿入したiPhone 5s(新しいほう)は、何度SpeedTestを行ってもダウンロードは約1.6Mbpsしか出ません。

同じ場所で、ほぼ同じ時刻にSpeedTestした、AT&TのSIMを挿入し、LTEを無効化したiPhone 5では、ダウンロードが6Mbpsまで出ます。明らかにHSPA+の速度が出ています。

ってことは、GigSkyは、HSPA+が使えるところでも、1.5Mbps前後の「3G」速度に速度制限しているってこと!?
まあ、あんまり速度が快適すぎると、予想以上に速いペースで使いすぎる可能性があるので、速度制限しているのでしょうか? それはそれで良いかもしれませんが・・・
でも、これは、ダウンロード速度を重要視するような使い方には向いていない、ということだけは断言できそうです。
よって、筆者の感想としては、GigSkyはバックアップ用SIM、または、短期間の滞在でせいぜいEメールをやツイッターなどの簡単なテキストベースの情報をチェックする向きだと思いました。

アメリカに限って言えば、たとえばAT&TプリペイドGoPhoneデータ通信専用契約のSIMであれば250MBまで$15/5GBまで5GBまでLTEまで接続できるし、T-Mobile US回線使用ですがアクティベートの簡単なZIP SIM(旧Ready SIM)のデータ専用SIMなら500MBで$15/2GBまで$40で、HSPA+(理論ダウンロード速度21Mbps)またはDC-HSDPA(理論ダウンロード速度42Mbps)で実測10Mbps前後の速度でアクセスできることを考えると、1.5Mbps前後で速度制限されているGigSky SIMは、対費用効果は低いと考えます。

1年に数回、複数の国を訪れる人が、現地でSIMを探す時間の無い時に使うために保険として買う価値はあると思いますが・・・

■ テザリング

iPhoneにGigSkyのSIMを挿入してテザリングを行おうとすると、Telecom Italiaのホームページに飛び、テザリングの申し込みをする必要があるようです。イタリア語がわからないので、良くわかりませんが、おそらく、GigSkyの契約ではテザリング出来ないのでしょう。もちろん、このGigSkyのSIMをポケットWiFiに挿入すれば、目的は達成されるのですが・・・・



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