T-Mobile US Jump!/AT&T Next/Verizon Edge/Sprint Easy Payの早期アップグレードプログラムは、本当に価値がある?


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T-Mobile USが2013年7月10日にペナルティー無しで携帯の早期機種交換できるプログラム、T-Mobile Jump!を発表して以来、競合のAT&Tは2013年7月16日にAT&T Next(2013年7月26日より実施)を、Verizonは2013年7月18 日にVerizon Edge(2013年8月25日より実施)を、発表しました。
Sprintは2013年9月20日からOne Upを提供しましたが、2014年1月9日に廃止し、2014年1月14日からはEasy Payとして再度登場しました。

で、本当にこのプログラムは、安くて便利なのでしょうか?

■ 早期アップグレード・プログラムは、ポストペイド契約のみ

この早期アップグレード・プログラムは、ポストペイド契約のみ、条件が合って、本人がこのプログラムに加入すれば、適用されます。
プリペイド契約には、適用されません。プリペイド加入している人は、このプログラムの心配をする必要が、ありません。

また、ポストペイド契約でも、端末代金を割引適用せずに購入し、かつ、端末代金を分割払いする人にのみ、適用されます。
端末代金の一括払いや、2年契約して端末代金を割引適用で購入する場合には、この早期アップグレード・プログラムは適用されません。

■ アップグレード時に機種は「交換」・・・古い携帯は返却

まず第一に誤解しないでほしいのは、この3社のプログラムは「早期機種『交換』」プログラムであること、『交換』ですから、時期が来て新しいスマホやモデルに交換したくなったら、それまで持っていたスマホは返却しなければなりません。

また、『交換できる』条件として、AT&Tは「交換前の携帯は、良好な状態で、機能が全て使えること。」とあります。

T-Mobileの場合には、「携帯が破損、紛失、または盗難にあった場合にも、交換できる」とありますから、交換前の携帯の状態は不問であり、かつ、交換前の携帯を持っていかなくとも新しい携帯を受け取れる事になります。
じゃあ、紛失していないのに「紛失した。」と言って新しい携帯が受け取れるのでしょうか?たぶん、その場合には、前の携帯のシリアル番号が「紛失・盗難携帯のデータベース」に載り、電話機としての通信機能は使えなくなるでしょう。SIMさえ刺さなければ、iPod TouchやMP3プレイヤーとしては使えるでしょう。

Verizonの場合にはまだ実施されていないので、交換前の携帯の状態に関する詳細条件はまだ不明です。

いずれにせよ、「一定期関経過したあとに新しい携帯に『アップグレード』する時に、前の携帯は返さないといけない。」ということは、その一定期間内は携帯を「購入」したのではなく、「リース(賃貸)」しているのと同じことです。つまり、まず第一に考えないといけないのは、「買うのと、リースするのと、どっちがメリットがあるか?」を考えないといけません。まあ、「古い携帯なんか、自分の手元に残らなくても良い。」と考えている人は、この早期アップグレードプログラムには全然抵抗が無いでしょう。

Sprintの場合は、再登場したEasy Payのプログラムでは、古い機種を返却する必要はありません。ただし、「返却(下取り)」して欲しい客には、最高$300までの市価で下取りします。

■ 与信履歴が良であることが必須

もう一つ、このプログラムの加入するには、機種代の分割払いが大前提です。
アメリカで分割払いをさせてもらうには、信用できる人間で無いと、させてもらえません。アメリカでは、信用度は「クレジットヒストリー(与信履歴)」「クレジットスコア」という客観的な数字で判断されます。そして、「クレジットヒストリー」はソーシャルセキュリティー番号で管理されています。

したがって、留学生などでソーシャルセキュリティー番号が無かったり、アメリカでの「クレジットヒストリー」がまだ確立されていない人は、この早期アップグレードプログラムには加入できませんので、選択肢として考える必要がありません。ソーシャルセキュリティー番号や「クレジットヒストリー」が無い人は、端末は割引無しの「定価」でしか購入できません。

■ コスト

次に、iPhoneの最新モデルを1年毎に買い換えることを前提に、4社のプログラムと、このプログラムに加入しない場合のコストを計算してみましょう。

前提:iPhone 5 16GBモデル:アップルストア定価 $649.00 ⇒ 同価格の新モデルのiPhone

キャリア
プログラム
初期費用 通信料以外の
毎月の費用
機種交換可能な
時期
ちょうど12ヶ月後に
機種交換する時までに
直近12ヶ月
累積で支払った金額
(消費税抜き)
(通信料以外)
機種変更時に
払う金額
(消費税抜き)
機種交換後の
毎月の支払い
と新しい分割回数(期限)
解約条件 解約時の携帯 備考
T-Mobile US
Jump!
$145.99
+消費税?
端末分割代金$21.00(24回払い)
Jump!加入料金月$10.00
加入後6ヶ月目以降。
1年に2回まで。
$145.99+$372
=$517.99
 
初期頭金は1回で良いので、2年目以降は直前12ヶ月の累積コストは$372.00。
$0 端末分割代金$21.00(24回払い)
Jump!加入料金月$10.00

12ヵ月後の次の機種変までの累積は$372

残債を全額払う 最後の携帯は手元に残る。 損傷・紛失・盗難の場合も対象。
AT&T
Next
端末代金の消費税分のみ 端末分割代金$32.45(20回払い)
26回払いのオプション有り

2013年12月8日から毎月の通信料金が$15割引。

加入後12ヶ月目以降。
最後の交換から12ヵ月以上後。
26回払いの場合は、18ヶ月目以降。
$389.40-$15×12
=$209.40
$0 端末分割代金$32.45(20回払い)
-月通信料金割引$15

12ヵ月後の次の機種変までの累積は$389.40-$15×12=$209.40

残債を全額払う 最後の携帯は手元に残る。 アップグレードのみ対象。
前の携帯の返却が必要。
Verizon
Edge
端末代金の消費税分のみ? 端末分割代金$27.04(24回払い)

2014年2月13日から毎月の通信料金が$10(10GB未満プラン)または$20(10GB以上プラン)割引。

加入後6ヶ月目以降。
最後の交換から6ヵ月以上後。
加入後30日目以降。
最後の交換から30日以上後。
$324.50-$10×12
=$204.50
(交換時に端末代の50%以上を支払っている必要がある。)
$0 端末分割代金$27.04(24回払い)
-月通信料金割引$10

12ヵ月後の次の機種変までの累積は$324.50-$10×12=$204.50

残債を全額払う 最後の携帯は手元に残る。 アップグレードのみ対象。
前の携帯の返却が必要。
Sprint
Easy Pay
端末頭金+端末代金の消費税分 端末分割代金(24回払い) 加入後、いつでも。
ただし、分割残債を全額払う必要がある。
$649.00 $0 端末分割代金(24回払い)

12ヵ月後の次の機種変には残債全額を支払うので、$649.00

残債を全額払う 最後の携帯は手元に残る。 アップグレードのみ対象。
前の携帯の返却は不要。
必要であれば、前の携帯を最高$300まで、市価で下取りしてくれる。
T-Mobile
端末買い切り
$649.00+消費税分 $0 いつでもアップグレード可能。 $649.00 $649.99 $0 いつでも解約可能。
解約料無し。
全ての携帯が手元に残る。 古い端末をTrade-Inに出せば、全体の経費は安く出来る。
AT&T
通常の2年契約
$199.00+消費税分
新規契約の場合には開設手数料$36追加。
$0 加入後24ヶ月目毎は端末割引適用。 1年目$199.00+$36.00
2年目$649.00
3年目$199.00
4年目$649.00
・・・
1年目$649.00
2年目$199.00
3年目$649.00
4年目$199.00
・・・
$0 Early Termination Fee
$325-$10x契約継続月数
全ての携帯が手元に残る。 2年目、4年目、・・・は割引で端末購入可。
SIMの変更が必要であれば、アップグレード料$36加算。
古い端末をTrade-Inに出せば、全体の経費は安く出来る。
Verizon
通常の2年契約
$199.00+消費税分
機種変ごとに$35追加。
$0 加入後24ヶ月目毎は端末割引適用。 1年目$199.00+$35.00
2年目$649.00+$35.00
3年目$199.00+$35.00
4年目$649.00+$35.00
・・・
1年目$649.00+$35.00
2年目$199.00+$35.00
3年目$649.00+$35.00
4年目$199.00+$35.00
・・・
$0 Early Termination Fee
$350-$10x契約継続月数
全ての携帯が手元に残る。 2年目、4年目、・・・は割引で端末購入可。
機種変ごとにアップグレード料$35追加。
古い端末をTrade-Inに出せば、全体の経費は安く出来る。
Sprint
通常の2年契約
$199.00+消費税分
機種変ごとに$36追加。
$0 加入後24ヶ月目毎は端末割引適用。 1年目$199.00+$36.00
2年目$649.00+$36.00
3年目$199.00+$36.00
4年目$649.00+$36.00
・・・
1年目$649.00+$36.00
2年目$199.00+$36.00
3年目$649.00+$36.00
4年目$199.00+$36.00
・・・
$0 Early Termination Fee
$350-契約継続月数に比例
全ての携帯が手元に残る。 2年目、4年目、・・・は割引で端末購入可。
機種変ごとにアップグレード料$36追加。
古い端末をTrade-Inに出せば、全体の経費は安く出来る。
定価で購入。
契約期間束縛無し。
1年後に新モデルを定価で購入。
古いモデルはキープ。
$649+消費税
T-Mobile以外は
新規契約の場合には開設手数料$35-36追加。
$0

AT&Tは2013年12月8日から毎月の通信料金が$15割引。

いつでもアップグレード可能。 $649.00
AT&T新規契約は$36追加-$15x12。
Verizon/Sprintは$35/$36追加。
$649.00
Verizon/Sprintは$35/$36追加。
$0

AT&Tは2013年12月8日から毎月の通信料金が$15割引。

$0 全ての携帯が手元に残る。 前の携帯も自分のもの。
Verizon/Sprintは機種変ごとにアップグレード料$35-36追加。
AT&TはSIM変更が必要な時には$36追加。
定価で購入。
契約期間束縛無し。
1年後に新モデルを定価で購入。
古いモデルはTrade-Inサイトで現金化。
$649+消費税
T-Mobile以外は
新規契約の場合には開設手数料$35-36追加。
$0

AT&Tは2013年12月8日から毎月の通信料金が$15割引。

いつでもアップグレード可能。 $649.00
- トレードイン価値(最大$374.50)
=最小$274.50
AT&T新規契約は$36追加-$15x12。
Verizon/Sprintは$35/$36追加。
$649.00
Verizon/Sprintは$35/$36追加。
$0

AT&Tは2013年12月8日から毎月の通信料金が$15割引。

$0 最後の携帯は手元に残る。 前の携帯は手元から無くなる。
Verizon/Sprintは機種変ごとにアップグレード料$35-36追加。
AT&TはSIM変更が必要な時には$36追加。

なお、T-Mobile Jump!プログラムでは、機種交換時に新しい携帯の「頭金(Downpayment)」は免除されます。したがって、2年目以降のアップグレード時の「その前12ヶ月の累積コスト」は$372に減ります。

上の表を見るとわかるように、手間でなければ、2年契約しながら1年ごとに定価/割引で交互に買い替えて行き、古い端末はTrade-Inサイトで売却していく方が、全体的には安くなります。
ただし、T-Mobile US Jump!プログラムの場合は端末保険のカバーもしますので、紛失・盗難・端末の損傷が心配であれば、加入しておく価値はあるかもしれません。

SprintのEasy Payでは、いつでも、年に何回でも機種変更できる代わりに、機種変更のたびに残債は全額支払う必要があります。これは単に、「2年契約縛りの無い契約で、かつ、端末代は(割り引き無く)分割で支払える」というだけの話です。何もメリットは無いですね。もっとも、機種変更時に下取り希望なら、市価で下取りはしてくれますので、その分、新しい端末の代金が安くなります。

さて、貴方なら加入しますか?

※ 追加:AT&Tは2013年12月8日より、Next分割加入者、または、2年契約束縛無し加入者には、月$15の通信料金割引を開始しました。(Mobile Share Value Plans)
【AT&T】AT&T Introduces New Mobile Share Value Plans With More Savings and “No Annual Contract” Options – 2013年12月5日

※ 追加:Verizonは2014年2月13日より、Edge分割加入者には、月$10(10GB未満データプラン加入者)または月$20(10GB以上データプラン加入者)の通信料金割引を開始しました。(More Evereything Plan)
【PhoneDog】Verizon’s new More Everything plans official, include more data and Edge discounts – 2014年2月13日



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