アメリカ著作権侵害警報システム(Copyright Alert System)が本日(2013年2月25日)から稼動


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数日前からこのCopyright Alert Systemのニュースがアメリカのメディアを賑わしていますが、筆者もまだ良くわかっていません。
Copyright Alert System gets started, ISPs ready to lay the smack down on P2P piracy – 2013年2月25日
‘Copyright Alert System’ rolls out to catch illegal downloaders – 2013年2月25日

特に、どんなコンテンツが引っかかるのかが、良くわからないのです。

ともかく、このCopyright Alert System(CAS)には現在、AT&T(U-Verse)、 Cablevision、 Verizon(FiOS)、 Time Warner、ComcastのCATV/光ファイバー・インターネット接続会社(ISP)が参加しており、これらのISPの回線を使用して加入者が著作権を侵害した不法コンテンツをダウンロードすると、CASが自動的に検知し、ISPに通報します。

ISPは加入者(ダウンロードした人)に対して「違法コンテンツのダウンロードが行われている」ことを警告通知します。

6回警告が送られた後、加入者の違法コンテンツのダウンロードが止まらなければ、ISPはインターネットアクセス速度を遅くしたり、最悪の場合にはネット接続を一時停止することが出来ます。このため、このシステムは別名「6-strikes」とも呼ばれています。
ISPは回線の契約キャンセルを強制することは、出来ません。

もし、間違って「違法ダウンロード」と判断された場合には、加入者は$35を払って独立調停機関であるAmerican Arbitration Association (AAA)に調査を依頼することが出来ます。調査の結果、CASの判断が間違っていた場合には、$35が返金され、間違った警告回数を減らしてもらうことが出来ます。

今日(2013年2月25日)から稼動するこの著作権侵害警報システムは、主にP2P(ピア・ツー・ピア)で違法に共有されている映画・テレビ・音楽ファイルの違法ダウンロードを検知するようです。
しかし、Eメールに添付されたファイルや、Dropboxなどのフィル共有クラウドサイトのチェックはされていないようです。
そして、ソフトウェアやドキュメント類(たとえば、機器の操作マニュアル)は、どこまで監視されるのでしょう?・・・もちろん、正式サイトからのダウンロードは構わないのですが、許可を貰っていないミラーサイトからのダウンロードがどう判断されるか、が気になります。

※ 筆者は一度、バックアップのためにアンドロイドのルート化アプリのファイル(拡張子.apk)をDropBoxの共有公開フォルダーにアップロードしたところ、1分も経たないうちにDropBoxにそのファイルは「違法コンテンツ」と判断されたことがあります。どうやら、DropBoxは一部の拡張子のファイルは自動的に「違法コンテンツ」と判断しているようです。

CAS自体はユーザーに対して著作権侵害の法的訴訟を行うわけではなく、インターネット利用者に「不法ダウンロードをしないよう」啓蒙・教育することが目的です。しかし、コンテンツの合法所有者(テレビ局、映画製作会社、音楽会社、など)がダウンロードした人を個別に訴訟する可能性は、あります。

まあ、音楽・映画・TV番組などのコンテンツを違法サイトからダウンロードもしくは視聴するのは、慎みましょう!
ところで、米国外で製作されたコンテンツは、このシステムの対象なのかな?
たとえば、日本のTVドラマをTorrentサイトからダウンロードするとか、YouTubeで見るとか・・・

う~ん、どこまでが対象なのか、良くわからない!

このシステムで警告を受けた人は、「どんなコンテンツを、どんなサイトからダウンロードして、警告を受けた」のかを報告していただけると、皆さんの参考になると思います。

また、留学生さんとか若い人に「違法コンテンツ」ダウンロードの可能性は高いと思いますが、知らずにダウンロードしてネットが止められたり、ホームステイ先/ルームメイトに迷惑を掛けることがありますので、注意しましょう。
 
 

以下、CASを管理しているCenter For Copyright Informationのリンクを掲載しておきます。
Copyright Alert System Set to Begin – 2013年2月25日
Copyright Alert System FAQs
 
 

追記:
FAQを読むと、以下のようになるようですね。
1.映画製作会社、TV番組制作会社、音楽会社、またはそれぞれの代行会社がP2Pファイル共有サイトを常時チェックしていて、違法コンテンツを探し、そのコンテンツをCASシステムに登録する。
2.CASシステムが、登録されたP2P違法コンテンツをダウンロードしたIPアドレスを、該当のISPに通知する。
3.ISPが、ダウンロード当時にそのIPアドレスを割り当てられていた加入者に通知する。
(1)最初の2回は、丁寧な通知。ここで違法ダウンロードをやめれば、その後の通知は来ない。
(2)次の2回は、もう少し強い口調の通知。ここで違法ダウンロードをやめれば、その後の通知は来ない。
(3)最後の2回はかなり強い口調の通知。ここで違法ダウンロードをやめれば、その後の通知は来ない。
(4)最後の通知でも違法コンテンツのダウンロードが止まらなければ、インターネットアクセス速度が遅くなるか、アクセスしたときに「違法ダウンロード・・・連絡先」ホームページへ接続される。それ以外のネットアクセスは出来なくなる。 ⇒ 加入者はISPに電話し、違法ダウンロードをやめることを約束するか、違法ダウンロードに関する教育啓蒙ページを閲覧する義務が生じる。 ⇒ ネット接続が再開される。
※ Cablevisionは、「24時間ネット接続停止」と発表。
(5)1年間違法ダウンロードしなければ、以前の警告通知の記録は抹消される。
(6)CASの警告が間違いだと思ったら、$35の手続き料を払って独立調停機関であるAmerican Arbitration Association (AAA)に調査を依頼することが出来る。調査の結果、CASの判断が間違っていた場合には、$35が返金され、間違った警告回数を減らしてもらうことが出来る。

しかし、だったら、1.の段階で、違法コンテンツをそのP2Pサイトから削除するように努力すれば良いのにね。FBIがオーストラリアのファイル共有サイトを摘発して、廃業に持ち込んだこともあるんだから・・・
でも、一般論としては、米国外サイトやP2Pサイトにコンテンツを提供している世界中の個人をいちいち全部取り締まるのは、困難なんでしょう。

また、米国外で製作されたコンテンツで、かつ、米国での放映権の無いコンテンツは、たぶん、製作会社がいちいちP2Pの違法コンテンツを常時監視していないと思いますので、CASシステムに「違法」と登録されないのではないかと思います。よって、たとえば、日本のテレビの連ドラがあるtorrentサイトで共有できる場合に、それをアメリカでダウンロードしても、CASシステムでは違法と判別されないのではないか、と推測されます。・・・でも、このシステムまたは同様なシステムが日本でも稼動すると、データベースの共有が始まり、違法ダウンロードと判断されるようになってくるかもしれませんね。

記事本文にも書いたように、CAS自体はインターネット加入者を法的に罰したり摘発したり、または、訴えたりする権限はありません。
しかし、このシステムにより、1.の映画製作会社、TV番組制作会社、音楽会社が、悪質な違法ダウンロード者を民事訴訟に持ち込む可能性はあります。



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